
授業をしながら人々が香りを嗅ぐ瞬間、私は香りよりも彼らの表情を最初に観察します。少し緩む目元、ぽんと下ろす肩、深くなる息遣い。時にはその奥に濃く染み込んでいる疲れの跡まで一緒に読み取ることもあります。
香りに没頭している人々を見ていると、年齢や性別を問わず、皆が一瞬子供のように純粋になります。静かな集中の中で澄んだ顔を見つめるたびに、私はこの瞬間がどれほど貴重であるかを改めて実感します。
実は私の最初の職業は香りとは無縁の放射線技師でした。病院の冷たい空気の中、列に座って不安そうに順番を待っている人々。その緊張した風景の中で、私もまた息を整えながら一日を過ごしていました。
そんなある日、ささいだけれど鮮明な感覚が重なってやってきました。窓の隙間から染み込む温かい朝日、さえずる鳥の声、窓を開けた瞬間に押し寄せる涼しい空気とコーヒー一杯の温度。すべての日常が突然「香り」として読み取られ始めました。
その時、初めて知りました。香りは鼻で嗅ぐだけでなく、人生全体で受け入れる感覚であることを。こんな素晴らしい感覚を一人だけで知っているのはあまりにももったいないという確信が湧きました。ためらいはありませんでした。そうして私は一瞬で香りの世界に足を踏み入れました。
香りを学んでから私の世界は完全に変わりました。食べ物も、風景も、人との出会いさえも一つの独自の香りとして残り始めたのです。一日の空気や季節の温度、瞬間の感情まで自然に記録されました。そのおかげで私の人生の質は以前よりもずっと豊かでしっかりとしたものになりました。
授業の途中、目を閉じて香りを嗅いでいた一人の方が静かに呟きました。「あ…突然心が少し楽になりました。」その一言は私にとっての道しるべとなりました。「私は香りを作る人ではなく、人の感情を感じ取り、それを香りに翻訳する人なのだ。」
香りは本当に特異です。言葉よりも早く、思考よりも深く、説明しなくてもいつの間にか心の奥深くに染み込んでいきます。だから私は香りを単なる匂いだとは考えません。忘れていた感情や記憶を優しく目覚めさせる最も正直な言語だと信じています。
私が作る香りは華やかではありません。「強い」という感嘆よりも「心地よい」という安心を与える香り、トレンドを追うのではなく、呼吸しやすい質をまず考える香りを目指しています。何よりも自分自身に最も正直である香りであってほしいと思っています。
最近、良いご縁でホンソクジュン・ピラティス講師とコラボ授業を行い、確信したことがあります。体を動かして感覚を開くと、香りはより深いところまで届くという事実です。呼吸と体、そして心を順に感じるその驚くべきプロセスのそばで、私は静かにサポーターになります。
私はこんな調香師になりたいです。トレンドよりも自分だけの感覚を信じ、複雑さよりも呼吸するシンプルさを選び、売るための香りではなく、留まる香りを作る人。早い結果よりもゆっくりと積み重なっていく変化の力を信じる人です。
今後このコラムを通じて、香りが私たちの体に触れる方法、授業現場で出会った人々の内面的な物語、調香師としての試行錯誤や空間と感情の関係などを共有したいと思います。
正解を提示する文章ではなく、香りという媒介を通じて「私」をもう少し深く理解していく記録になればと思います。
私は感情を香りに翻訳する調香師、アンソルです。
文:ジョンユジン (調香師 アンソル) @ansol.scent
- ‘Pilates & Scent’ ウェルネスプログラム運営
- 香り製品制作・販売
- ペレ(PERE)とのコラボ及び製品提供
- 教会香りプロジェクトコラボ
- ブランド・空間香り開発 & クラス企画

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